飯久保廣嗣 Blog

一昔前には、日本を含むアジア5カ国が国際社会における英会話力が劣ると言われていた。それらの国は、日本以外に韓国、中国、タイ、マレーシアである。

ところが、今日では、日本を除いて、他の5カ国は国際社会における英会話力が抜群となり、唯一日本は取り残されてしまった。韓国からは国連事務総長が出ている。中国、タイのテクノクラートの英語力は欧州に比べても引けをとらないレベルである。マレーシアは、元首相のマハティールの英語力が卓越している。なお、元々英語が公用語であるシンガポールは全閣僚の英語力が優れている。

それに対し、日本の実態は悲惨なものである。英会話ビジネスのみが脚光を浴び、レベルはアジアの中でも最低水準だ。この背景はいったい何なのだろうか。以下に挙げてみたい。

・英語教育が読み書き偏重であり、英会話を軽視してきた。
・英会話を教える教師の英会話力が低い。
・大学受験におけて英会話力のテストがない。
・人前で恥をかきたくないという、完ぺき主義。
・いびつな英会話ビジネスの間違った指導。

など枚挙に暇がない。しかし、このほかに言われてないことがある。それは、「英会話と論理思考の関係」である。

今日では、挨拶程度の会話は、なんとかできる水準に達しているが、会議や議論の場において、日本人はどうしても引けをとる傾向がある。その理由として大きいのが、短時間で自分の意見をまとめ、発信する力が弱いことである。

その原因としては、問題から結論に至る考え方の枠組みが整理されていないことが挙げられるだろう。この枠組みが整理され、自分のものになれば、英会話力も自ずと強化することにもつながる。

アジア諸国の飛躍的な英会話力の躍進の背景には、その国のエリートが海外での学習の中で、いわゆるクリティカルシンキング(論理思考力)を身につけ、それを活用することによって、英語による発信力が強化されるという、因果関係があると思われる。

次回は、この論理思考がどのように英会話力の強化に影響を与えるかについて、具体的に述べてみたい。