飯久保廣嗣 Blog

昨日まで2週間ほど米国に出張した。ご他聞に漏れずGMの工場閉鎖、各社の人員整理などあまり明るい話題はなかった。そして、各地でお目にかかった日本人の友人は、日本の現状を憂い、このままでは日本は米国人の関心外になるだろうという。日本からの発信がないことが大きな原因であろう。

口下手で自己宣伝ができない日本が優れた商品によって発信し、ODA等の経済力で存在感を示してきたが、これからは肩身が狭い思いがしばらく続くことになろう。

ところで、オバマ政権の初めての閣僚会議が発足約100日後やっと開かれた。この閣僚メンバーを見ると、これが本当にアメリカ政府の閣僚メンバーかと、目を疑うほどの陣容だ。全く新しい時代の幕開けである。

閣僚21名の中で、白人(White)の男性は僅か8名の38%しかいないのである。黒人(Black)が男女合わせて4名、東洋(Asia)が3名、メキシコ系(Hispanic)が2名、そして白人女性4名という陣容である。最年長がロバート・ゲイツ国防長官(65)、最年少がスーザン・ライス国連大使(44)である。ちなみに、ガイトナー財務長官は47歳、オバマ大統領は8月に47歳になる。

多民族国家のアメリカであっても、依然白人が多くを占める。いくら、民主主義で選ばれた大統領とはいえこのような閣僚の布陣を引いて、米国の世論はこれをどのように評価するのか関心をもって帰途についた。

帰りの機上で大統領就任100日目の世論調査を目にした。4月24日のUSA TODAY / ギャロップの結果は、56%が最高の評価(Excellent or Good)であり、20%が最低(Poor or Terrible)、中間が20%であった。実に76%の国民がオバマ大統領の仕事ぶりを評価していることになる。しかし、民間企業の救済や膨大な財政投資に対する批判も聞かれる。

なお、保守的な米国人はあまり評価しないが、オバマ大統領がヨーロッパ訪問で、核の廃棄を訴えた演説をしたことが報道された。わが日本の総理からも、すかさずこれを評価し世界で唯一の被爆国として日米共同で核の廃絶を主張するなどの発信を期待したが、残念ながらそれはなかったようだ。