飯久保廣嗣 Blog

国の内外にこれほど重要問題を抱えているのに、黙して語らない国民も珍しい。

隣の韓国では対米政策の批判に10万人のデモ。日本は国家の存亡がかかっているというのに、国民は傍観者。国の指導的立場にいる人たちといえば、安直かつ無責任な言動の繰り返し。マスメディアが問題意識を喚起するものの一過性。本質についての議論は欠如。国民はお笑いとバラエティーでガス抜き。そのバカ騒ぎに国会議員や代議士が花を添える。

後期高齢者医療制度に代表される悪法が国会を通過する。問題発生に対して官僚は言い訳。
一刻も早く是正対策、適応対策が必要なのに……

政権交代の模索もいいだろう。財政再建の議論も無論重要だ。しかし、日本丸が浸水し航行不能になり、それを世界社会が軽蔑のまなざしで見ていることを、もっと真剣に考えるべきだ。最も重要な、国としてのビジョン、これからどのような国家を創るのかという「日本国改造論」の議論こそ必要である。

「そんなにいきりたっても無駄だよ」、「言うだけ損だよ」。人は言うかもしれない。しかし、私は発信する。世界社会からこれほど軽蔑され無視されているのに、日本の政府は重要なことを何も言わない。反論もしないし、抗議もしない。国民も借りてきた猫のようにおとなしい。

月刊「選択」6月号の巻頭インタビューで、とんでもない記事を読んだ。「日本は今、国際社会で沈没してしまった、という意識が強い」というインタビュアーのコメントに、「世界の人々の日本への評価は決して低くなく、関心はむしろ強まっている」と、高級官僚が発言していた。その根拠は、「日本語能力検定試験を受ける外国人の数が52万人でTOEFL、TOEICの次に多い」「アニメヤマンガなどへの若者の関心は高まっています」とのこと。これが、すべての責任ある官僚の代表意見でないこと願うばかりだ。

また、「安保理常任理事国入りに世界の大方の国から振り向きもされなかった」という指摘に対しては、「日本がもっと国際貢献、特に国際平和協力に積極参加できる態勢をつくらなければいけないと痛感しましたね」と一言。まるでどこかの国の首相のごとく、完全に他人事である。現在は“東大大学院の客員教授さま”だそうである。

もう一つ論点を提示したい。例の北朝鮮を巡る6カ国協議である。米国はテロ指定解除を6月26日に実施した。拉致問題で具体的な進展があるまで解除に反対という、日本政府の要求は無視された。

今流のコトバを使うなら、日本政府は「KY」であった。米国が勝手すぎると主張しても、世界からは笑いものにされるのがオチだ。日本政府はこのことを予測して、PROBABILITYの推移を判断してシナリオを書く必要があった。
米国がこの通知をしてきたときに、我が政府はどう対応したのか。

・「それは困ります」
・「何とか再考してください」
・「日米関係に悪影響がでます。それでもいいのですか」

と泣き付いたのだろうか。あるいは、

・「このことを事前に北朝鮮に通達しているのか。もしそうであれば、日本に対する背信行為であり、これをどう処理するのか」

とでも言っていれば上出来だろう。詳細をマスメディアが報じてほしいものだ。

そして、この事態を予測したシナリオはなかったのか。米国代表のヒル氏に対し、「もし北朝鮮との関係改善を米国が強引に進めるなら……」

・「北朝鮮に対する経済支援は今後一切凍結する」
・「今後KEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)等の協力はしない」
・「今後国交正常化は積極的に進めない」
・「日本の国民に対して、特に拉致被害者の家族に正式に説明をしてほしい」
・「拉致問題解決に米国はどのように協力するのか」

こうした、通告ややり取りをしたのだろうか。もしあったのなら、国民に開示するべきだろう。国民の知る権利を大切にするメディアから、ことの真相は聞こえてこない。

とにかく、国家改造論の論議を誰かが、どこかで始めてほしい。日本と日本人の威厳及び品位が世界で蹂躙され、国が衰退していくのを傍観していいはずはないと思う。

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