飯久保廣嗣 Blog

私の尊敬する友人であり、長年にわたりお付き合いさせていただいた人生の先輩が、先日、76歳で亡くなられました。昨年10月に発病、入院されて、約半年で帰らぬ人に。本人は、延命のための措置を一切拒否し、天寿を全うされました。

最近偲ぶ会が開かれ、私も参席しました。日米、日台、日韓関係等、日本の外交を陰で支えた人物ということもあり、安倍総理をはじめ、麻生外相や谷垣前財務相も献花に訪れていました。そのほか米国、アジア諸国からも多くの弔辞が寄せられました。

この友人と私の間を結びつけたキーワードは「日米関係」と「志」、「自己犠牲」でした。この3つのキーワードがあったからこそ、最初に会ったときから打ち解けることができ、その後も長くお付き合いすることができたのです。

人と人を結びつけるには、キーワードが大切なのです。キーワードの効果は、ひとつは深いコミュニケーションを初対面から図ることができるということです。それには相手の最大関心事が何かを事前に知っておくか、その場で素早く推察する必要があります。例えば、私はこの偲ぶ会で、真のジャーナリストである櫻井よしこさんをお見かけしました。一度、お目にかかってお話を聴きたいと思っていた人の一人であったので、自ら積極的に自己紹介し、4、5分の立ち話をすることができました。

それも考えてみれば、私が櫻井さんの心の琴線に触れるキーワード(=最大関心事)で会話を始めたからこそ、自然にコミュニケーションを図ることができたといえます。そのキーワードとは、「日本の主張」と「日本人の思考様式」でした。名刺を交換したので、またいつの日かお会いできることでしょう。

また、宮沢喜一元首相と10年ほど前に、あるパーティーで立ち話する機会がありました、宮沢さんは最初に「ご職業は何ですか」と聞かれました。私は、宮沢さんが海外の雑誌や新聞を原文のまま読まれることを知っていました。そこで、「日本人のコンセプチュアルスキルを強化するための事業をやっております」と申し上げると、すぐに関心を寄せられました。この場合のキーワードは「コンセプチュアルスキル」です。

数年後、また宮沢さんと再びお目にかかる機会があり、そのときも宮沢さんから質問を受けました。それは、「最近どんなことにご関心を持っていますか」というもの。私は、「日本にはコンティンジェンシーという概念が希薄であり、このことが、問題の影響の拡大を許している。これは経営資源のムダに繋がるのでは」と、申し上げた覚えがあります。この場合は「コンティンジェンシー」がキーワードなのです。

初対面から人間関係を確立する場合に、共通の友人がいるのであれば、その友人がキーワードになることもあります。そして、相手に核心に触れる鋭い質問がキーワードとしての役割を果たすこともあるでしょう。

社交下手な日本人が初対面の人とコミュニケーションを図るための知恵として、“キーワード”というアプローチを活用してみてはいかがでしょうか。それが、皆さんの人脈やネットワークを広げる一助になればと思います。