飯久保廣嗣 Blog

コミュニケーションの強化をする場合に、避けて通れないことがある。それは、われわれが使う言葉を定義することではないだろうか。これをしないと、意思疎通の齟齬が起こり、感情論になったり、分析業務が混乱したりする。

例えば、「目的」、「ゴール」、「目標」、「オブジェクティブ」などの言葉をどう定義し、使い分けるのか。また、「意思決定」と「優先順位付け」は、どう違うのか。「問題解決」と「意思決定」はどう違うのか。「問題」と「課題」をどのように扱うのか。枚挙に暇がない。

今回は、「問題」をどう定義するかについて考えてみたい。私の恩師であり、友人のC.H.ケプナーさんは、1958年に「問題」の定義をしている。

それによると、「問題」とは、「過去に起きたトラブル現象や不具合のこと」であり、概念的には『「あるべき姿」と「現実」の間の差異・ギャップが発生している状態』としている。

しかし、私は最近、この定義を拡大解釈してもよいのではないかと、考えている。「過去に起きた差異」だけでなく、「現在」、意思決定がなされていなければならないという「あるべき姿」に対して、それができていないという「現実」。また、「将来」のリスクに対してヌケなくモレなく対策が講じられていなければならないという「あるべき姿」に対して、それがなされていない「現実」。これらの差異・ギャップも、問題の範疇に入れていいと思っている。

言い換えれば、過去の問題は原因究明、現在の問題は意思決定、将来の問題はリスク対応と、整理をしてもいいだろう。過去の問題について言えば、3つある。発生問題(クレームや工場の不具合など)、発掘問題(社員の不満など)、創出問題(生産性向上、1人当たりの売上げ増大など)である。現在の問題は、「複数の選択肢から最適案を選ぶという状況」、「課題設定」などが含まれる。将来問題は、主に問題を発生させないための予防対策(1次対策)と、発生した場合の影響を最小化する発生時対策(2次対策、コンティンジェンシー)に分類できる。

このように定義することで、コミュニケーションは飛躍的にスムーズになる。ぜひ心得ていただきたい。