飯久保廣嗣 Blog

最近の中央官庁の不祥事やその顛末を見ると、これはまさに「官尊民卑」を絵に描いたようなものといわざるを得ない。官僚の損得だけを重視し優先させ、国民はそれに従うものとしているのである。

官である公僕(公衆に奉仕する者。あるべき姿としての、公務員-大事林)には、自分たちの判断が常に正しく、国民はそれに従うものという自負がある。中央官庁の官僚が真に国民のwell Being(安全と安定)を優先し、さらに国民のために自己犠牲の精神を持っていれば、それも成り立つだろう。しかし、現実はどうか。絶望的である。

わが国の制度の中に会計監査院がある。この機関を強化し、税金の無駄使いを徹底的に追及するということはできないものだろか。おそらくそれは無理であろう。ではどうするか。

こんな素人の発想はどうだろう。絶対的な権限を持った強力な内部監査機関を全ての省庁に創設するのである。その機関の目的は、綱紀の粛正である。そうはいっても、大げさなことでなく、

●官僚が本来の仕事に集中できる環境を整えること。
●不正を抑制し犯罪的な行為に対しては国民が納得する処分をすること。
●国の意思決定コストを削減すること(税金のムダ使いを抑制する)。
●透明性を確保すること。

そして、最も重要な目的は、

●当該省庁の行政活動の評価を下すこと。

国民を混乱させ、国民に不利益な事態が発生した場合には、直ちに是正するための処置を勧告し、実施させるのである。

民間企業には、J-SOXという内部統制制度を導入した。官にも内部監査制度を導入し、1つお手本を示したらいかがだろうか。

技術的に難しい問題があることは覚悟の上である。それらの問題を1つずつ分析し、対策を予め講じ、制度を確立していくことがポイントとなる。そして、制度確立の過程を透明にすることも重要だ。

また、この内部監査の責任者とチームをどのように編成するかも大きな課題だ。適任者は日本にはおそらくいないだろう。そうであれば、国際社会から招聘することを考えたい。民間では既に実績がある。日産のカルロス・ゴーン氏である。

その昔、明治政府は「お雇い外人」を活用した。George Williams というアメリカ人が招聘され日本の金融制度を確立したのが好例だ。この人物には3万ドルという高額の年俸が提供され,た(当時では破格だ)。執事から御者まで引き連れて来日したとの記録もある。

日本に対する世界の評価が低迷している背景の1つに、日本政府の生産性の低さが指摘されている。中央官庁が大改革を外部の血を入れて断行すれば、国際社会は日本に対して期待をし、注目するのではないか。
またお雇い外人を招聘するとなると、外務省、財務省、経産省といった国家機密に関わる機関は難しくなる。そこで、まずは厚生労働省、国土建設省などから始めてはどうか。国の経営を国民から付託された政治家でさえ手に負えない状況だ。これ以上国家が荒廃し滅亡の道を歩む前に手を打ってほしい。真に国益を考えている多くの官僚が、良識を持って建設的に仕事ができる環境を創っていただきたいのである。