飯久保廣嗣 Blog

日本は格差社会に突入したといわれています。資本主義のもとでは、金儲けは企業活動の「善」であり、儲からない企業は淘汰されます。日本社会の特性を活かした資本主義システムの中でも、若くして億万長者になった人が、数多く世に出ています。

しかし、悲しいのは、大金を手にした人たちの多くが、テレビなどを通じて、豪奢な家や、その生活ぶりを、世間に披瀝していることです。儲けたカネの使い道が、単なる自己満足では、むなしさが残るのではないでしょうか。

ここで、私の米国の大学時代の同級生で、腎臓の世界的権威である友人の次男の話をしたいと思います。彼は、ゴールドマンサックスに務めた後、投資会社を起業し、40歳にして“アメリカ版ヒルズ長者”になったと、聞きました。その後、お金に不自由することがなくなり、自分のやりたいことができる立場になって、何をしたか。耳にした話は、日本の成功者とは全く異なるものでした。

それは、成功者は社会に還元するという理念を持つか持たないかの違いなのでしょう。彼は、アフリカ問題に関心を持ち、現在では、ネルソン・マンデラ南アフリカ元大統領のアドバイザーとして、無報酬で奉仕しているとのことでした。

一方、投資ファンドのリップルウッドでオーナーを務めるティム・コリンズさんは、やはり途上国の基盤整備にボランティアとして、力を注いでいます。さらに、日本においてもスポーツ選手が基金を設立し、社会に歓迎するケースが見られるようになりました。テレビで得意気に成功の証しとして「家」を披露している人との違いをまざまざと感じます。

また、日本では欧米に見られるようなphilanthropy(慈善団体)に該当する財団活動は非常に稀だということも、非常に残念なことです。その背景には、日本の税制があります。米国では、教会や学校に寄付をした金額は所得控除扱いとなります。米国でほとんどの人が確定申告をするのは、こうした社会還元しやすい仕組みを維持するためです。無論悪用した場合の罰則はシビアなものがあるようです。

そうした、税制上の不備があるものの、わが国の億万長者たちには、“生きた金の使い道”について、今一度考えてほしいものです。世界社会において、尊敬される「美しい国・日本」になるためには、こういった側面のグローバルスタンダードも視野に入れる必要があると思います。

中国も日本の背中を追って経済発展に邁進した結果、拝金主義がまかり通るようになっているようです。日中関係の将来を考慮し、日本が中国から尊敬されるためにも、儲けたカネの使い道のお手本を示してほしいものだと思います。