飯久保廣嗣 Blog

私は、20数年前、はじめて広島平和記念公園を訪れました。公園には、戦没者を追悼する慰霊碑や海外から贈られた記念碑が数多く見られました。千羽鶴がかけられたものも見受けられました。そこで、私は同行してくれた広島在住の友人に尋ねました。「米国からの慰霊碑はどこにあるのか」と。しかし、その時点では「ない」との返答でした(広島平和記念公園に確認したところ、今も建立されていないとのことです)。当然あるものと思っていたので、大きな驚きを覚えたのを今でも鮮明に記憶しています。

先日、私が尊敬する元衆議院議員との勉強会の中で、久間防衛庁長官の発言が話題になりました。それに関連して、この真のstatesman(政治屋ではなく政治家ということ)である元衆議院議員は、「戦後に米国大統領が広島を訪れたということはないのではないか」と、言われていました。

今後、久間発言を引き金に、タブー視されていた日米関係における「原爆投下」が、メディアで取り上げられる可能性が大きくなっていくものと思われます。これは、避けて通れない論点です。従って原爆投下の問題に関しては可能な限り建設的な方向で処理する必要があります。

このままの流れでいくと、一部のメディアや国民が短絡的かつ感情的に「米国に謝罪を要求する」と言い出すのではないかと、私は危惧しています。このようなことは、非理性的であり、日米関係を悪化させることにつながりかねません。それでは、どのようにこの問題を処理したらよいのでしょうか。

今の状況は、日本が米国に対し、問題解決の新しい選択肢を示す絶好の機会ではないかと思うのです。「けしからん」「許せない」「謝罪せよ」の大合唱は、いたずらに感情論を掻き立てるだけです。そうではなく、日本人の美徳や寛大な心を米国政府に示すことを考えたいものです。

具体的には、日本側から要求するのではなく、米国民の草の根運動を軸に解決を図ります。広島平和記念公園に、米国市民の募金によって、原爆廃止と平和祈願、さらに原爆投下に対する反省を込めた、友好のための記念碑を建てるのです。この玉虫色の処理により、2国間の信頼関係を多少なりとも強化できるのではないでしょうか。これを同時に、国際紛争を処理するためのひとつの方法として提示できれば、日本の文化や日本的発想が評価されることにもつながります。

記念碑が現実のものとなった場合、その除幕式に、米国大統領が平和公園を訪問するということも同時に実現できれば、両国にとって素晴らしいことだと思います。