飯久保廣嗣 Blog

仕事とは問題解決、意思決定、リスク対応の連続である。特にマネジャーにもなれば、そうした「思考業務」の割合が飛躍的に多くなる。

しかしマネジャーの中には、自分が「問題解決者」であるという自覚が足りない人が多い。そのため思考の修練を怠って、「思いつき」によって組織を動かし、部下を困惑させると同時に、失敗を繰り返していることが少なくない。

問題解決には「知識」「智力」が必要である。智力は問題解決の基本的な思考様式と考え方である。そして、理想的な問題解決者となるには、「問題」とは何かについて正しい理解が欠かせない。

例えば、原因究明に関する問題を分類すると、「発生問題」、「発掘問題」、「創出問題」の3つになる。「発生問題」は突発的に発生する現象であり、製品の不具合、市場からの商品クレームなど、問題のほうから飛び込んでくるものである。

「発掘問題」は問題として存在はしているものの顕在化していない。事業部の売上の減少が継続している(氷山の一角)、なんとなく部門内の士気が上がらないなどである。発掘問題については、鋭い質問による対応が考えられる。「どのような現象がどこで起きているのか」、「誰が何を言っているのか」で、対応できる。

「創出問題」は、一見、「あるべき姿」と「現実」に差異がない状態における問題である。一般的に「当部門ではすべて順調で問題はありません」という考えこそが、実は問題だ。

そうした際にはチャレンジングな課題をつくり出す姿勢が必要なのである。たとえば「売上目標が達成されている」、「工場の生産性が計画通りである」という状況に対して、より高い目標を設定し、それを達成するための課題を明確にすることが必要となる。

ラショナル思考的に考えれば、「あるべき姿」を現実的に上位展開することによって、そこに人為的な差異を生じさせ、その差異を克服する手段を課題として設定することになる。

この創出問題へのもう一つの考え方は「リスク対応」の応用である。発想としては「○○工程の時間を20%削減することに対するリスク対応」あるいは「△△地区の販売目標を10%増加することに対するリスク対応」という発想で、それを達成するための阻害要因をどのように克服するかがポイントとなる。