飯久保廣嗣 Blog

クリントン米国務長官が来日し、分刻みで日本の要人と会見した。これは日本における米国のイメージアップにかなり好影響を与えたと思われる。

最初の外遊先として日本を選んだことは、日米関係の重要性を確認する意味があり、これは歓迎すべきことである。日本のマスメディアもこの論調で訪日を評価している。

しかし、外遊の順序が日本→インドネシア→韓国→中国であることを思うと、単純に日本が最重要視されているという図式にはならないのではないだろうか。

オバマ政権が抱えている課題は、イラクとアフガニスタンの2つの戦争である。また、最優先すべきもう1つの課題は、米国経済の建て直しである。

これを踏まえた上で、シナリオを想定すると、中国が最後の訪問国である必然性が何かをどうしても考えてしまう。日本から戦争と経済に対する協力を引き出し、最大のイスラム国家であるインドネシアでテロ対策の検討をし、韓国でアフガニスタンへの派兵の可能性を打診し、それを携えて中国と最終的なアジアにおける安全保障と経済対策を討議する。このシナリオは、うがった見方であろうか。

一方で、米国の優先課題に対し、クリントン国務長官が日本にどのような協力を要請したかが、国民としては知りたいところである。マスメディアには、最低限、今回の訪日における各会見の主な議題ぐらいは、取材し、情報提供してほしいものだ。ただ単に、正確な行動スケジュールを追うのではなく、その背景に何があり、どのような意図や目的があったかを取材・分析していただきたい。そうでなければ、今回のクリントン国務長官訪日の真の意味を見誤る可能性があるといっても過言ではない。

それにしても、クリントン国務長官の絶え間ない笑顔や質素な服装は、米国の厳しい現実を踏まえた、実に見事な演出といわざるを得ない。このしたたかさも参考にしたい。