飯久保廣嗣 Blog

隣国の韓国との間に教科書問題で悶着がまたまた発生している。今回はその内容に触れるのではなく、最近読んだ福田和也著による「地ひらく―石原莞爾と昭和の夢 」(文芸春秋文庫、上巻・下巻)から、そのままある箇所を引用する。

明治43年、日露戦争の結果をうけて韓国を保護国化するために結ばれた第二次日韓条約云々の記述(上巻の107ページ)に続いて……

「全項目について合意をみた日本側と韓国側は、8月22日の午後4時に、『第一条 韓国皇帝陛下ハ韓国全部ニ間スル一切ノ統治権ヲ完全且永久に日本国皇帝陛下ニ譲与ス』に始まる全8条におよぶ併合条約に調印した。

(中略)

初代朝鮮総督として、軍事から立法、警察にいたる全権力を握った寺内は、併合の記念として、三千万円を官民に贈与した。併合時の韓国銀行券の全発行高が一千四百三十三万円の時の三千万円である。配分の内訳は王族、貴族、高級官僚ら功労者には八百二十四万円余り、両班、儒者のなかで高齢のものや孝子、節婦などに五十三万円、全土の三百二十九府郡に一千七百三十九万円余り等である。」

日本が韓国を併合したことが罪悪であり、これに対し日本は韓国に謝罪をし、賠償金を支払ってきたという事実のほかに、日韓併合の記念としてこのような莫大な金額を贈与したという事実もあるようなのだ。

ある国が要求する「正義――Justice」と相手国が考える「正義――Justice」が一致しない場合、公平な立場から、歴史的な事実を教科書でどの様に記載すればよいかは、大いに議論すべきだろう。

また、列強の植民地政策で、宗主国が植民地に上層から下層階級まで満遍なく高額の金銭を贈与した事実は歴史にあるだろうか。これも、検証するテーマといえよう。