飯久保廣嗣 Blog

日本再生のために、教育の改革が叫ばれて久しい。従来のような、改革論議の延長線上で果たして抜本的な変化を望むことができるのだろうか。

日本再建のためには現行の教育の改革は待ったなしで必要である。以前から教育審議会では、さまざまな意見が出され、改革案が策定され、それが実施されてきている。しかし、多くの場合、成果に結びつかず、何年かごとに見直しがなされる。その繰り返しが続いている。これが、現実であり、この延長線上での議論に不満や物足りなさを感じている人は多いと思う。

教育審議会の委員の皆さんは、真剣にこの国の未来を考えて、知恵を絞っているのは間違いのないことだろう。また、海外の成功している教育制度などを参考に、改革案を策定する努力が、文科省などを中心に進められ、論議もなされている。だが、成果が乏しいのは事実である。

ここで、従来とはまったく発想の異なる論議が必要であると思う。そこで、私の私案をぜひ聞いていただきたい。ひとつは防衛大や防衛省の方々に私が実際に接して受けたインスピレーションから着想を得ている。

私は、数年前に見た、日米学生会議に出席していた3名の防衛大学生のことを、今でも鮮明に覚えている。その規律の正しさ、礼儀正しさ、りりしさ、積極的な発言などは際立っており、大きな感銘を受けたものだった。

また、先日、防衛省に昇格してから最初の音楽祭で見た、自衛隊幹部の立ち振る舞いは、感動さえ覚えるほど、りりしさに溢れていた。この音楽祭には米国及び韓国の吹奏楽団が参加していたが、わが国の演奏や行動は、まったく遜色のないものだった。そして、私は思った。こうした立派な日本人が輩出されているのは、まさに日本の高等教育の成果ではないかと。

ここでひとつ考えたいのは、日本の外交の重要性が再認識されているにも関わらず、その実態は他の先進国と対等なパワーを持っているのか、疑問に感じるということである。福田総理の訪米で、日本が提案したことの中に、「米国のシンクタンクに三年間で1億5000万円の支援」、「日本研究に二年間で1億円」などがあったと報道されているが、これは桁の間違いではないかと思うくらい貧相な内容である。

このような現状を打破するためにわが国は何をするべきか。そのひとつが、日本の外交力を強化するための「外交官養成大学」の設立である。この機関の目的は全国の優秀な若者を集め、国際的な舞台で活躍できる人材を育成することにある。授業料は国家負担とし、最近欧米で取り入れられている「メリットスカラシップ」を支給して、若くして経済的に独立させるのである。

この機関は文科省や外務省など既存の省庁の管轄下に置かず、内閣の直属機関という位置づけにしたらどうだろうか。カリキュラムや組織、運営面では、明治の制度にあった「お雇い外人」にならい、海外から優秀な教官や研究者などにより策定するのも一案である。学生が身に付けるべきものは、「知識」、「智力」、「人間としての迫力」、「柔軟性」、そしてそれらを貫く「倫理・哲学・思想」であってほしい。これらを体得することで、自ずとリーダーシップを発揮することができるはずである。

同じような発想で、「教員養成大学」、「行政官養成大学」などの設立も必要だろう。これは、あくまで緊急処置であり、今日までの教育改革の努力をさらに続けることも平行して展開することは、言うまでもない。