飯久保廣嗣 Blog

新聞の報道によると、10月31日の朝7時に、米英及びアジア各国の駐日大使が集合。場所がカナダ大使館であり、米国大使館でないことから、どのような経緯で集まったのかは定かではありません。米国駐日大使か、もしかすると外務省が会合を設定したのかもしれません。

この会合にはわが国与野党の国会議員と代議士も参加した模様です。会合が意味することを、素人なりに考えてみました。おそらく米国は、インド洋上における日本の多国籍軍艦船への給油活動中止の対応として、短期間の暫定的な処置でしのごうとしているものの、長期的には新しい選択肢を模索していることに疑いの余地はありません。

選択肢は複数考えられます。ひとつは、大きな製油所を持つシンガポールに補給を要請すること。また、米国との関係強化を目指しているマレーシアやタイ、あるいは韓国、インドネシアなどが要請先として、挙げられるかもしれません。もし、このようなことが現実となった場合、日米関係や日本の国際社会における存在意義に大きな悪影響を及ぼすことは、間違いのないことでしょう。そして、考えたくないことですが、仮に米国が中国やロシアに対し燃料補給を要請するようなことが起きれば、日米関係に致命的な影響を及ぼし、国際社会における日本の信用も失墜します。

一方、国会における特措法の与野党の質疑を聞いていると、あまりにも国益を踏まえない議論に終始し、また、そのことをマスメディアが問題として取り上げていないように見えます。例えば、2004年に補給された燃料がどのように使われたか。そのことを質問する民主党。それを調べると回答する政府。最前線でテロと命を懸けて戦っている人々に、「うちが補給した燃料はどのように使われたのでしょうか」といった、バカバカしい質問をすることを、果たして国民の民意だと本気で考えているのでしょうか。

国際社会が注目する中で、日本が対テロ活動から撤退することの影響を、日本の有識者及びマスメディアがもっと自分たち切実な問題として、取り上げる必要があります。また、もはや次の衆議院選挙に対する政争の具として、扱う次元ではなくなったということを野党も認識してもらいたいものです。

こうなったからには、福田総理が16日からの訪米時に、海自部隊による燃料補給活動の再開時期を明示する必要があります。単に「早期再開に全力を挙げる」といった曖昧な回答では、問題解決にはなりません。また、訪米までに可能であれば、アジア各国に燃料補給活動を要請し、日本が費用を負担するといった対応もあり得るかもしれません。
この日本の中止の行動は、対テロ活動を真剣に考えている関係各国に対する背任行為といっても過言ではないのです。民主党のひとりのエゴで、日本の国益が損なわれるかもしれないことに、国民はもっと関心を向けてほしいものです。これは、日本とって、21世紀初頭における外交上の最大の節目であり、国際社会に対する日本と日本人の姿勢が試されているといっても言い過ぎではないのです。