飯久保廣嗣 Blog

最近の日米関係で気になることがあります。

まず、世界的な日本の自動車メーカーの米国法人の最高幹部2名が、相次いで辞任。そして、米国競合企業に就職する。さらに、同メーカーの現地の工場には、本社からエンジニア一行が「ご指導」のために訪れ、現場で働く米国人の間に緊迫した空気を漂わしているということを耳にした友人もいます。また、日本を代表する大手IT企業の米国法人がNASDAQ市場から除名に近い処分受けたということも伝わってきております。

一方、米国の消費者専門誌の自動車信頼度評価で、長年高い評価を得ていたトヨタの主力車が推薦リストから外されるなど、米国市場における信頼性が若干低下したという報道を、日経新聞で見ました。また、米国駐日大使がことあるごとに、日本の農産物の関税引き下げ(特に米)を要求していることも挙げられます。

なぜこのような現象が起きているかを、国益という切り口で考えてみる必要があります。米国人が非常に大切にしている産業や文化に対し、無神経に行動することが、どのような結果を生むか。これを想定してみたいものです。

自動車は米国の文化である――。このことは、日本人にはなかなか理解しにくい面があります。例えば、米国では、カスタムカーの全国的なコンテストで優勝したチームは、涙ながらにその感動を喜び合います。5年も6年もかけて個人がチームを編成し、手作りのクルマを作ることにプライドを持つ。この気持に、市民が共鳴し、支持する、米国には、そういったクルマを愛でる国民性があります。

前述の消費者専門誌の中のメーカー別評価では、1位にホンダ、2位に富士重工、3位がトヨタとなっていると報道されています。この順位付けを発表した背景にどのような米国国民の真意があるのか。このことを日本側が真剣に考えたいものです。

そして、当然のことですが、昨今世間を騒がせているインド洋上での海上自衛隊の給油活動も熟慮したい問題です。同じ文脈で、サミットメンバー諸国が持つ日本に対する心情を考えることも必要でしょう

日本の海上自衛隊による給油活動を中止した場合、日本という国とその国民の責任感、品格、常識に対し違和感や不信感を持つことは否定できません。給油活動を中断や中止した場合国益にどのようなマイナスが発生するか。政治家やメディヤが国民に情報を提供し、積極的に論陣を張ることを大いに期待します。時間はあまりありません。