飯久保廣嗣 Blog

「今日のビジネス人はリスク・テイキングをしない」という批判があります。リスクを負わずに成功を勝ち得る時代は過去にありました。しかし、日本的経営の終身雇用、年功序列が崩壊しつつある今日、リスクを取る人たちが現れないと、世の中の活力が失われる。これは自明の理です。

日本のことわざにもあるように、「失敗は成功の元」です。それにもかかわらずリスク・テイキングの機運は生まれないように見えます。世の中には、国家予算を使って失敗の研究から成功のヒントを求める研究をする機関がありますが、その成果はほとんど聞こえてきません。

なぜでしょう。この原因を単純に決め付けることは不可能です。しかし、日本人の発想の中に、減点主義、失敗を許さない、失敗をしてもそれを認めず隠す、失敗により面子を潰したくないといった、独特なものがあるのではないでしょうか。そして、敗者復活といった発想も少なく、日本国内で失敗しても、海外でやり直すチャンスがあるといった考え方の展開もあまり見られません。

一方で、失敗してもあきらめず、成功するまでやり抜いている努力家もいます。しかし、その数は減っているのではないでしょうか。

リスク・テイキングとは、新しいことをはじめるときに、考えられる不安材料を顕在化し、対応策の有無をロジカルに判断して、起こすべき行動を決めることといえます。

では、これからリスク・テイキングをする場合にどのような考え方を持てばいいのでしょうか。そのひとつは、リスクを起こりうる具体的な複数の現象として想定し、それらに有効な現実的な対応策を見出せるかといった発想の連鎖の中から、最終的に取るか取らないかを判断する。こういった分析的な思考回路を持つことにより、適切なリスク・テイキングができるようになります。

このような分析的な思考回路は、ダイナミックな個人、組織、企業、国の活動を促進するために、不可欠といっても過言ではないでしょう。