飯久保廣嗣 Blog

2010年11月19日

ここ一年は、日本と日本人にとって、不愉快なことの連続でした。景気、日米関係、中国との関係など枚挙に暇がありません。

その原因は、よく言われるように、国家戦略がないこと、国の形が見えないこと、この国をどうするのかが不明確であるということ、ではないでしょうか。

そこで、一国民として、ド素人の私がこの命題をじっくりと考えました。一国民としてこうあってほしいなという国家像です。人間、その気になって死ぬ気で物事を考えると、内容の良し悪しは別にして、何か出てくるものです。導き出されたのは、「平和貢献国家」という国民全員の賛同を得られるような発想です。

最終的にまとまっていませんが、以下に「平和貢献国家」の構想を記述します。

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平和貢献国家

・わが国の過去の国家戦略は、近代国家建設、富国強兵、戦後復興、経済成長でありました。

・日本の文化的・歴史的資産と国民性を考えた場合、それらに続く新しい国家戦略は「平和貢献国家」というのが相応なのではないでしょうか。

・「平和構想」、「平和協力国家」という国家理念は過去にもありましたが、単なるスローガンだけでは、説得力が乏しく、持続できるものではありません。

・この「平和貢献国家」という概念は、日本人の資質である「物事を丸く治める」、「契約社会よりも信用社会」、「対立や闘争よりも、話し合い」、「勝ち負けよりも和を尊ぶ(Win-Win)」といった背景から、生まれています。

・平和貢献国家を具現化するために不可欠な要素は、武力に依存することなく国際紛争を解決するための具体的なメソドロジー(方法、方策、理論、システムなど)を開発することです。従来の西洋的な発想では、「国防=軍事力」であり、国防予算はすべて軍事力増強に使われています。

・この西洋的な発想の限界を打ち破る考え方が「平和国家貢献」です。具体的には日本の国防費の一部を割いて、メソドロジーの開発に充てます。当然このメソドロジーには、国際社会にとっての新しい脅威であるテロ対応も含みます。

・具体的なメソドロジーの開発のために、世界の英知を集め、国家予算を投入して日本の国家プロジェクトとして展開し、その果実を全世界に供給します。

・この構想は、まさに国防の概念が、「Department of War」から、「Department of Defense」、そして、日本からの発信として「Department of PEACE」となる可能性を秘めています。日本の国防費は軍事費以外の平和貢献の具体的なツールの開発に資するというものです。これは、日本が世界に問いかける大きなメッセージになるでしょう。

・国民は、静的な文化や伝統という領域に加えて、現在国が何を世界社会にしているか、また、し続けるかといった動的な側面がほしいのではないでしょうか。行動が伴うことで国を誇らしく思う気持ちも生まれます。

・「平和貢献国家」が国のあらゆる重要な意思決定の指針となることができれば、国民の税金も有効に使われ、世界社会からも日本が目指すものが見えてきて、日本の国としての存在価値を高めることにつながるのではないでしょうか。

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以上が「平和貢献国家構想」の概要です。

日本人が、米国や中国に対等になるには、唯一の被爆国である日本が、世界の列強が未だに気が付いていない、そして、反対も無視もできない全く新しい世界平和の具体的な方法を国家プロジェクトとして発信し、行動することが必要であると考えます。

軍事大国の米国や中国に対して、「あなた方も国防予算の全てを相手を殲滅するための兵器開発に使うのではなく、予算の一部を充てて、紛争防止や紛争解決の具体的な方法を日本と一緒に開発しませんか、というメッセージを発信するのです。

新戦争形態のテロリズムに対しても、相手を殲滅するための高度な軍事技術だけでは平和は訪れません。テロの予防はその背景や原因に対策を講ずることが重要です。

日本人が本気になって、西欧的な国防予算の概念を変革するのです。この発想は、国の外交とは別の国防予算の範疇で対応するところに特徴があります。

「平和貢献国家構想」は、日本が世界に先駆けて、国防費を全て軍事力に充当するのではなく、その一部を割いて、戦争の発生を防止する方策、不幸にも発生した時の解決策に対する具体的な方策を、世界の英知を集めて開発して提供するという、極めて戦略的な構想なのです。

2010年11月15日

今回は、緊急ブログとして、横浜APEC時の日中首脳会談について、実施に漕ぎ着けるまでの日中のやりとりを私なりに想定し、日本の危うい外交を論じてみたい。

日本:横浜APECで日中の首脳会談を設営したいのですが。
中国:応答なし。
日本:先日の件はどうなりましたか。
中国:何のことですか。
日本:例の首脳会談の件です。
中国:ア、あれですか。他に優先度の高い人がいますので。
日本:あれは、ないでしょう。何とかしてください。

日本:時期も迫っていますので、具体的に協議をしましょう。
中国:そんなに「頼む」のなら調整しましょう。
日本:別に、『頼んでいる』訳ではありません。
中国:ところで、会談の目的はなんですか。
日本:勿論、日中間の戦略的互恵関係を確認するためです。

国民の声:ケンカを売っている相手にどうして「お願い」をするのか。
世界の声:日本は中国に何故卑屈になるのか。

日本:OO日OO時か、XX日のXX時などどうでしょうか。
中国:ちょっと難しいと思いますが。

日本:それでは、こちらが時間を合わせますから。
中国:この件は、日本側があくまで「お願い」しているのですね。
日本:お願いではなく、両国の戦略的互恵関係を維持するためです。
中国:それは大切です。で、会談の目的は。
日本:ですから、信頼関係を回復し、両国の関係を改善すること。

国民の声:これまでして、何で会う必要があるのか。会わなかったら戦争にでもなるのか。国家間の関係は『緊張』の連続でよい。相手にバカにされているのに、なぜ、ご機嫌を取るのか。
世界の声:日本は、国としての威厳と主体性を捨てたのか。日本の「武士道」とは何か。先進国として、頼りになるのか。対等に付き合えるのか。国としての『強い意志』があるのか。

日本:もう時間も迫っていますし、日本の立場も理解してください。
中国:どうしても、主席との会談を望むのでね。
日本:そうです。何日の何時にいたしましょうか。

国民の声:中国主席に対して、儀礼的なことを除いて、全く無視した方がよい。他の首脳との交流に当てることが国益。それに、『理解を求める』は卑屈な発想。立場が下のものが上に理解を求める。対等な立場の相手に『理解』は求めない。
世界の声:日本は、中国、中国と首脳会談のたびに、中国に振り回されている。日本の自主性、主体性が何故無いのか。屈辱的な日本外交に対して、日本のメディアや国民が沈黙していることが解からない。日本は益々中国に追随し、追従するのだろうか。
前日本総理:外交は友愛の精神が肝要で、相手が嫌がることをしない。

中国:11月13日の午後にします。日本の顔をつぶすことは避けることにします。
日本:わかりました。お気遣い頂きました。それで、会見時間は。
中国:どのくらいにしましょうか。
日本:できるだけ、お時間を頂きたい。勿論、着席で。
中国:できるだけ、とは具体的にどのくらいですか。10分、20分、30分?
日本:それは、お任せいたします。こちらが『申しこんでいる』のですから。

国民の声:日本の交渉窓口を、ここまで卑屈にしている本質は何か。外交とは、『売られたケンカに勝つ』『利害対立は命がけで対等に収める』。ケンカをしてはじめて、相互理解が深まる。友好が始まる。
世界の声:日本はあんなに苦労して、会談にこぎつけた。さて、会談の目的が見えないし、成果はあるのだろうか。メディアや国民はよく文句を言わないものだ。日本はその程度の国なのか。
米国の声:米国に対しても、中国に対する配慮の10分の1でもして欲しい。
メディア:会議時間の『22分間』を必要以上に強調。何故、APECか。何故、首脳会談か。何故TPP加盟か。目的(何故)を論じないで、方法・手段だけの報道では読者(国際社会を含む)は満足しない。